「優しいのね。あたし、これしか出来ないの」
「え?」
「もっとこっちに、来て」
 私が顔をより近づけると、マリスは慈しむ様に私の頬を抱き、私の唇にその小さな顔を寄せて、甘い囁き声を漏らしキスをした。
「あたしにはこれしか、出来ない」
 私は冷たいマリスの唇の感触に浸りながら、これが永遠に続いて欲しいとぼんやりと願っていた。

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