ものの3分ほどの間だったが、私にはその何倍もの時間が感じられていた。
 画面は再び黒いままになっている。
 奇妙なメモリ基盤を抜いて、ノーマルのメモリに差し替え再起動した。
 何事も無かったかの様にOSが立ち上がった。ハードディスクを調べると、2GBもの容量が何かに占有されている。
 開いてみると、Maliceという名前の、属性の判らないファイルだった。
 あれこれやっても、素人の私には判らず、バイナリのヘッダ部分と思われるところをコピーし、元プログラマで、今はアニメーションのデジタルワークを手がけている友人にメールで送った。
「これ、CADデータっぽいスね」
 メールの返事はこうだった。
「つまり、何かの立体物をデジタル数値化したものってワケ?」
 そういうことらしい。
 私は彼の指示通り、データを読めそうなアプリケーションで開いて、一体どんなデータが描きだされるのかを見た。
 人――、女の姿がモニタに浮かんだ。
 これは、本物の人間をデータ化したものなのだろうか。あまりにも完璧なプロポーションをしている。それに、この無機的な表情――、まるでそれは――