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このテキストは、シリーズ構成資料として作成したものです。
第三者によるレポートの体裁にしていました。
【デ・リーパーとは】
コンピュータが誕生して以来、人工的に疑似生命を生み出す試みはずっとなされてきました。
狭義での「人工生命」の本格始動は、1987年、クリス・ラングトンがサンタフェで開催した第一回人工生命(A-Life)会議ですが、ずっとそれ以前にも、多くの科学者、研究機関は、原始的なコンピュータ・グラフィクスを用いて、生命を模倣する存在を生み出していました。
デ・リーパーという存在を最初に作ったのが誰かは不明です。
それは、李鎮宇らが学生の頃、後のシリコン・ヴァレーでドルフィンことロブ・マッコイ助教授(当時)と共にワイルド・バンチというグループで研究をしていた、仮想野生体系システム Digimon <デジタルモンスター>よりも古い時期のものです。
また、後にデジノームとなる仮想生物も、デジタルモンスターより古い年代 (1980年代初頭)に、生み出されたものでした。
デ・リーパーが誕生したのは、1970年代末。たった30年程前の事ですが、ネットワーク世界=デジタル・ワールドでは、カンブリア紀に相当する「太古」の時代です。
デ・リーパーの機能は、単純かつ一つしかありません。
デ・リーパーが存在する「世界」(デ・リーパーが誕生した時点では、極めて小さいメモリ領域でしかなかった)に、許容量を越えた数の活動体が増えると、その「世界」を元の「無」に戻すべく、消去をする。それだけです。
デ・リーパーのプログラムは、ネットの奥底深くで非活性状態で、ただ存在だけしていました。
2000年代に入り、人はネットワークを飛躍的に広げ、活用し始めました。
同時にそれは、デジタル・ワールド自体の大進化に繋がります。デジモン達は、無尽蔵に人が送り込む「情報」を得て、自律的に進化を遂げていきます。
これが、デ・リーパーが再活性化する契機となってしまった訳です。
しかし、元々デ・リーパーは極めて原始的なプログラムでしかなかった。
デジモンを圧倒する程の力を、どうして持ち得ていたのか。
それは現在のところ不明です。
一つの可能性としては、デ・リーパーが眠っていたのはデジタル・ワールドの、最も深部、デジモンが自ら作り出した神・四聖獣の領域の更なる深部です。
そこは最早、人が作り出した世界ではないのかもしれません。
リアル・ワールド、デジタル・ワールドという、今の我々の「現実」世界とは異なる、違う「世界」と繋がっていたのかもしれない、とも考えられるのです。デ・リーパー各形態の種別について =>